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浮嶋稲荷神社/大行院

浮島明神とも称され、歴代領主から崇敬を集めてきた古社で、慶長五年(1600)兼続の朝日軍道開削を察知した別当大行院が最上義光に注進、授かった感状が今も残されているという。

浮嶋稲荷神社/大行院の来歴

一 最上義光伝馬印証状(大行院文書)

伝馬印証

一、伝馬 弐疋

一、徒步 弐人

  (黒印)

慶長五子年
  四月

  下原通
  大沼迄

『山形県史 史料篇15上 古代中世史料1』

二 本多正純書状(大行院文書)

貴翰令披閲候、仍最上出羽守殿ゟ大御所様為御祈祷、如御嘉例、於大峯、大護摩御執行、御札并巻数御進上候、遂披露候処、御感悦被為思食候、猶期来音之節、□令□□候、恐々謹言、

  本多上野介

(慶長十七年ヵ)
 九月廿一日 正純(花押)

出羽御坊

『山形県史 史料篇15上 古代中世史料1』

一〇 某感状(大行院文書)

今度景勝軍勢、朝日山禁閑道伐開乱入之旨、今注進条、神妙之至、仍任旧例、朝日別当永令修務、国家鎮護可抽丹誠者也、

慶長五子年八月一日(花押)

  大沼別当
   大行坊

『山形県史 史料篇15上 古代中世史料1』

国指定名勝 大沼の浮島

大沼は、水面標高が307m、南北約240m東西約200mの沼です。古来、浮遊する島々が風も無いのに動きまわるという神秘性から信仰の対象とされてきており、全国の浮島の中で最も有名なものとして大正14年(1925年)国の名勝に指定されました。浮島自体はヨシの地下茎でできており、西岸のヨシ群落が元になっています。また、周囲の林は神域として守られてきていることから、原生林のような所もあり、300種を超える植物の豊かな植生をみることができます。

『現地案内板』より

浮嶋稲荷神社(旧縣社)

御祭神 宇迦之御魂大神・熊野権現大神
五穀豊穣・学業成就・海運等の守護神

例大祭 五月五日(こどもの日)

御由緒

白鳳九年(六八〇)山岳修験者役証覚が天武帝の命を受け、大朝日修験のみぎり浮島の神池を発見、第子覚道をこの地に留め奉仕させたのが開基とされ、古来出羽の大沼といわれ一千三百有余年を経ている。覚道は湖畔に祠(浮島宮)を建立し、大沼大坊(大行院)の開祖となる。天平二年(七三〇)祠は現在地に移伝されている。

建久四年(一一九三)寒河江庄主(鎌倉幕府政所別当)大江広元の進言により源頼朝の祈願所となり、以後寒河江城主大江氏、山形城主最上氏の守護を受けている。

江戸時代には徳川三代将軍家光より一二七石四斗余の御朱印地を賜り、神社に徳川家葵の紋の使用を許された。徳川幕府の祈願所として六年毎(丑・未年)の祈祷守札の献上と将軍交代毎に御朱印状の書改め交付のための出府登城を行っており、緋網代の駕籠を使用しての陣容、それに要する経費、出府人員の調達など大行事であったとされる。

時の武将領主、権力者の宗家の安泰と武運長久の祈願所として、崇敬厚く保護処遇を受け、本殿・拝殿・祈願所等の再営修復が行われてきている。

江戸時代中期、大沼地区は京都聖護院を本崇とする朝日修験道の信仰盛んにて、大沼一山宗徒三十三の宿坊を擁する要地であり、大行院は修験者の総元締の役目を果たしていた。また、出羽三山参拝修験の道中にあり、宿泊や案内で賑わいを見せていた。

年表

年号   西暦   事項

白鳳九年 六八〇 山岳修験者役證覚、大沼浮島を発見し弟子覚道を留める

和銅元年 七〇八 覚道、祠(浮島宮)を建立し大沼大坊(大行院)の開祖となる

天平十一年 七三九 僧行基、大沼を訪れ、島数六十六を日本国数にたとえ名を付ける

建久四年 一一九三 大江広元の進言により源頼朝の祈願所となり、本殿を再建する

応永二十年 一四一三 十二代寒河江城主大江為広、本社を再営する

長亨二年 一四八八 十三代寒河江城主大江知広より諸役免許状を受ける

天正十二年 一五八四 山形城主最上義光、社殿を修復し神領を増し祈願所とする

文禄四年 一五九五 聚楽第事件に際し、父義光の安泰を祈願する最上義康、家親連署の立願状を受ける

慶長五年 一六〇〇 上杉景勝の朝日軍道開削を最上義光に注進し感状を受ける
          最上義光の推挙により、徳川家康に祈祷守札を献上する

元和七年 一六二一 最上家信(義俊)、大沼大明神と熊野権現に石灯篭を奉納する

慶安二年 一六四九 徳川三代将軍家光より、徳川幕府の祈願所として社領一二七石四斗余の御朱印地を賜り、葵の神紋を許される

宝暦元年 一七五一 俳人鸞窓(大行院第四三世雄英)、全国から集めた句を刻字した俳額を奉納する

明治十二年 一八七九 浮嶋稲荷神社、縣社に列せられる

大正十四年 一九二五 大沼浮島、内務大臣より国の名勝として指定される

『現地案内板』より

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朝日軍道(庄内直路)

浮島稲荷神社/大行院へのアクセス

  • 〒990-1305 山形県西村山郡朝日町大沼
  • JR左沢線「左沢駅」よりタクシーで21分
  • 山形自動車道「寒河江スマートIC」より車で26分

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