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金剛山 円城寺

天正十八年十月、葛西大崎一揆鎮圧を前に伊達政宗が軍議を凝らした寺院で、後の鷹狩りの際にも度々立ち寄ったという。

金剛山 円城寺の来歴

宮城県中央部に位置し、中世には、源頼朝の奥州合戦以来、陸奥留守職伊沢氏の所領であった宮城郡利府町。町域中央、仙台から松島・高城方面へ向かう石巻街道沿いに旧利府本郷(現利府町利府)があり、留守氏の居城である利府城南麓には、伊達政宗との禅問答の逸話が伝えられる寺院、円城寺があります。

円城寺は、元亀二年(1571)磐前郡専称寺の岌弁和尚の開山で、本尊の阿弥陀如来は仙台藩士山崎正八郎重長の寄進と伝えます。天正十八年(1590)十月、葛西大崎一揆鎮圧のため米沢を発った政宗は、十一月五日利府に着陣、各所に陣営を構え、この円城寺において軍議を凝らした後、黒川へ兵を進めました。

元和二年(1616)三月、茂庭綱元に秋の鷹野の為「鳥之法度」を命じた政宗は、十月に利府で鷹狩りを催しました。急雨に見舞われた一行は円城寺に立ち寄り、良将和尚に禅問答と茶の湯の接待を受けたといいます。その当意即妙なやりとりは今も語り継がれ、政宗が没した際には位牌と石灯籠が作られました。

風土記御用書出 利府本郷
金剛山 円城寺
一故事来歴之事 当寺第四世良将上人住職仕候節元和二年貞山様御野ニ被遊御出候節急雨ニ付為御小休当寺江被為入願以此功徳鳥ハとられす和尚如何と御意被遊候ニ付荒鷹に餌をかう〳〵と日かくれてと良将上人御即答申上候得者御感ニ付中島監物を以寺領三貫六百拾四文之所御寄付被成下其節ゟ御朱印頂戴仕罷在候事
一寺領并御寄付之事
 一寺領 三貫六百拾四文 貞山様御代御寄付被成下候事
一御参詣又ハ御成之事 寛永十一年当寺内江御仮屋被相建置 貞山様 義山様 雄山様御三代時々被遊御入候由御座候所当時者御仮屋等も無御座候事

宮城縣史24(資料篇2)

元和二年(1616)のこと、時雨そば降る或日の夕方、その寺の玄関に「頼もう、頼もう」と訪れる一行があった。見ると紛れもなき伊達政宗公の御鷹野の戻りの主従一行であったのである。和尚は大いに恐縮すると、政宗公は猶予も与えずその場から問いかけた。
「和尚は両眼、我れ一眼」
しかし和尚もさる者であった。
「天に星満々とあれど唯月一点の光に如かず」
と即答申し上げた。政宗公は非常に御機嫌よく、和尚に酒肴を賜った。
また鴫の焼鳥も下さったが、和尚は固辞して食わなかった。
公は和尚に「特に今日は肉食を許す」とのお言葉であった。そこで和尚はかしこまって、ただ一呑みに之れを食ってしまった。それを御覧になった公は
「和尚鴫は如何に」
と仰られた。和尚は忽ちに
「すぎすぎと羽音を成して腹に飛び行き候」
と申し上げたので、政宗公は
「妙々」
と仰られ、大いに和尚の博学機智を賞された。
ついで、「和尚何か望みは無いか」と問われたが、和尚は「別に望みとてはありませぬ。ただ食っていけば結構でございます」と申し上げた。
その後、監物御取次をもって、寺領三貫十四文を下し置かれた。
それから後日節々の御鷹野の砌、この寺に御立寄りになった。
義山公の寛永二十一年(1644)に至り、利府本郷の内、二貫七一九文、同山王村内で八九五文、都合三貫六一四文(三六石一斗四升の他)を御加増になられた。
しかるに当時の寺の建物は、文化年間には火災にあって本堂や庫裡が灰燼に帰した。この際貞山公の御真筆始めその他幾多の宝物を烏有に帰したことは誠に遺憾である。現在の建物は後年建立したものだが、本堂正面(須弥壇)の阿弥陀如来像の精巧なことや額に納められている円城寺御目録並に寺の大屋根の台輪になっている伊達家の御紋章等が今も残っていて、この寺の誉める昔の歴史を語っている。
附 以上「禅問答」として伝わっている伝説のあらましだが、これは「禅問答」ではなく、「即意当妙」と云うべきものだと説く人もある。

利府町誌 第17章 行事と民族・風習 「二、円城寺と禅問答」

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金剛山 円城寺へのアクセス

  • 〒981-0112 宮城県宮城郡利府町利府大町50
  • 三陸沿岸道路「利府塩竈IC 」より車で5分
  • JR東北本線「利府駅」より徒歩6分

参考文献

  • 角川日本地名大辞典編纂委員会編(1979)『角川日本地名大辞典4 宮城県』角川書店.
  • 大塚徳郎・竹内利美編(1987)『日本歴史地名体系4 宮城県の地名』平凡社.
  • 宮城縣史編纂委員会編(1954)『宮城縣史24 資料篇2』宮城縣史刊行会.
  • 宮城郡利府村々誌編纂委員会編(1963)『利府村誌』宮城郡利府村役場.
  • 利府町誌編纂委員会編(1986)『利府町誌』宮城県利府町.
  • 飯村均・室野秀文編(2021)『続・東北の名城を歩く 南東北編 宮城・福島・山形』吉川弘文館.

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