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北原山 正楽寺

古くは名取郡にあった古刹で、藩祖伊達政宗のとき、葛西晴信寄進とされる平泉の梵鐘を賜って現寺号となり、のちに現在地に移った。

北原山 正楽寺の来歴

正楽寺

新寺小路にあり。北原山と号する。真宗大谷派に属し、仙台領内に於ける真宗最初の寺で、開基を佐藤信元という。信元は忠信の後裔で、出家して羽州宝珠山立石寺に祝髪し、後名取郡笠島に草庵を結んだのが此寺の濫觴である。應仁二年(一四六八)本願寺蓮如上人奥州巡化の際、偶々同庵に宿し、自ら六字の名号を書してこれを信元に授け、僧名を釈真玄と与えられ、爾後上人と別れて出羽に入り高櫤に専称寺を創建した上人の高足願生坊に師事し、庵名を真玄房と称するに至った。二世福寿の時、玉造郡岩出山に移って一宇を創立し、第三世福泉の時、同寺を弟浄泉に継ぎて浄泉寺と称した。第四世明慶に至って名取郡日辺邑北原の地〔今は仙台市に編入、徳照寺のある所〕に移り、福泉坊と称したが、藩祖政宗深く明慶に帰依し、慶長十二年(一六〇七)三月北原の地を賜い、出羽専称寺末を離れて京都本山の直末とし、寺号を正極楽寺(略して正楽寺という)と改め、三貫文の寺禄を給する旨の沙汰があったが、明慶寺禄を辞して受けず、我宗門は門徒を布教化益し、其の報謝布施を以て寺を維持するを本旨とすることを言上し、

一、御領分中布教の自由なる可きこと。
二、勤行説教を民衆に報ずる梵鐘を賜り度きこと。
三、我宗風佛に供するに生花を以てす、希くは採花松園を賜り度きこと。

を希望し、許されて一宗の僧録司となり、黒印と共に着座格を授けられ、又その翌十三年には井土浜に於て松園一町歩を寄附され、平泉中尊寺に属していた古鐘を寄進された。これが有名な秀衡四十八鐘の一と称せられる古鐘で、口径一尺六寸五分あり、古銘を改めて新銘を刻したもので、現在も同寺の寺宝として残っている。

井土浜の松原一町歩は明治維新まで正楽寺の寺有となって居り、村の檀徒中が互に松葉をかいてこれを寺に貢いでいた。地内に正楽寺火葬場と称する所があり、現在では部落の共有地になっている。

同十四年(一六〇九)八月、現在の八ツ塚の地を賜わってこれに移り、次で堂宇を成就し、塔頭四ヶ寺を設くる等大に寺観を整うるに至り、寛永三年(一六二六)の頃には、若林城修築の際、同城の裏門を寄附されたが、それが現在の同寺総門であるという。宝永五年閏(一七〇八)正月二十四日の大火で堂宇焼失。縁起等悉く焼失する(中略)。

【什宝】(1)梵鐘(伊達政宗寄進、平泉中尊寺蔵王堂の所蔵であったものを収める、「陸奥州平泉鷲峰山」の銘を削り、更に「迷故三界城、悟故十方空、本来無東西、何処有南北、陸奥州名取之郡日辺郷北原村正楽寺常什物、願主釈明慶、大檀那藤原朝臣政宗、慶長十三戊申年霜月十五日」の新銘を刻する)

仙台市史 第7巻(別編 第5)

正楽寺宛黒印状

一正楽寺へ被相出候 政宗君御黒印写

已上、

本願寺門徒、於仙台正楽寺建立候、致繁昌義、配領中、自門徒衆、違乱有間敷候、其上各門徒衆可出仕者也、

   慶長十二年   貞山様御黒印

      卯月十三日

       正楽寺

右、正楽寺所持、御記録へ写載之、

『仙台市史 資料編11 伊達政宗文書2』

貞山公治家記録

慶長十二年四月条

◯十三日乙巳仙台城下ニ本願寺門徒宗正楽寺ヲ建立ニ就テ御領中ノ門徒衆違乱スへカラス且ツ正楽寺へ出仕スヘキノ旨御黒印ヲ出サル左ニ載ス

 本願寺門徒於仙台正楽寺建立候致繁昌儀配領中自門徒衆違乱有間敷候其上各門徒衆可出仕者也

  慶長十二年

    卯月十三日  御黒印

      正楽寺

『伊達家治家記録 第1』

仙台市登録有形文化財(平成7年9月5日登録)

正楽寺本堂・山門

本堂は、宝永5年(1708)春の大火による焼失後享保5年(1720)に落成。その構造は桟瓦(一部本瓦)葺入母屋造の屋根を有する間口、奥行とも十二間四方で内部は板敷の内陣と畳敷の外陣とにわかれている。

特に畳敷の外陣は広大で、浄土真宗仏堂の特徴が示されている。山門は寛保2年(1742)の建築。桟瓦葺切妻造の屋根を有する三間一戸の楼門形式の八脚門で、元来二階部分は鐘楼となっていた。

仙台では藩政時代から今日に至るまで、数回にわたり寺町が大火にみまわれていることもあって、この本堂と山門はそれらをくぐり抜けてなお現存している点で貴重である。

平成9年10月 仙台市教育委員会

『現地案内板』より

北原山 正楽寺へのアクセス

  • 〒984-0051 宮城県仙台市若林区新寺2丁目6−35
  • JR東日本「仙台駅」より徒歩10分
  • 仙台市地下鉄東西線「宮城野通駅」より徒歩6分
  • 東北自動車道「仙台宮城IC」より車で14分
  • 東北自動車道「泉IC」より車で25分
  • 仙台南部道路「長町IC」より車で12分

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