小手森城跡

二本松市

小手森城の撫で斬りとして後世語られるようになった大内氏の支城

福島県中通り北部、安達太良あだたら山の東麓から阿武隈あぶくま高地の西部にかけて位置する丹羽氏十万石の城下町、二本松市。市域北東部、口太くちぶと山の南西麓に旧安達郡小手森おでもり村(現二本松市針道)があり、梁川街道と相馬街道との交点近くの愛宕森には、撫で斬りの惨劇で語り伝えられる大内氏の支城、小手森城があります。

小手森城は、標高四六三㍍、比高約百㍍の愛宕森と呼ばれる小山にあった城館で、城域は約五百㍍四方、愛宕神社が祀られる山頂に主郭、その北東側、更にその東側に狭長きょうちょうな郭があり、南北には帯郭が配されていました。麓の集落には、今も大町、下幕ノ内、馬場平、下馬場、北作、西作などの地名が残ります。

天正十三年(1585)うるう八月、田村清顕の要請もあり、小浜おばま城主大内定綱討伐を決定した政宗は、刈松田かりまだ城主青木修理の内応を機に米沢から杉目すぎのめ城に着陣。修理と謁見して太刀を与え、絵図提出を命じました。これにより政宗は田村からの不便を察し、清顕同陣の約束を履行する為、最初に小手森攻めを決定しました。

同月十七日、政宗は川俣に陣を移し蕨平わらびだいらで清顕と謁見。二十四日、小手森城攻撃に踏み切りました。対する定綱は居城小浜城から小手森城に乗り込み、小浜救援の蘆名、二階堂、畠山らの軍勢も近くに布陣しました。しかし城兵は城から出ず、夕方近くの小競り合いの後、定綱は兵を預けて小浜に帰城しました。

二十七日未明、成実は政宗に伺わず竹屋敷に陣を進め、留守政景もこれに同道。これを知った政宗は総陣進撃を指示し、大内家臣の石川勘解由かげゆが降伏を願い出るもこれを許しませんでした。成実らが城に攻めかけ火を放つと、折しもの強風に瞬く間に燃え広がり、城兵は持ち場を放棄して遂に落城となりました。

政宗は(閏)八月二十七日付の最上義光宛書状に「大備身類共相添え五百余人討ち捕らへ、其の外女童申におよばず、犬までなで切に成させ候条、以上千百余人きらせ申候」と記し、翌日の後藤孫兵衛宛書状に「二百餘撫切」、翌月の虎哉宗乙宛書状には「八百人計討捕候」と、其々異なる戦果を報じています。

小手森城に対する猛攻に怯えた大内方の諸城(新城、木こり山、かち内館、ひたち館)はその夜のうちに自落。以降、政宗は樵山きこりやま、築館に逗留とうりゅう、後に清顕の進言から田村領黒籠に陣を移して岩角城を巡見。退路を経たれると判断した定綱は小浜城を棄てて二本松に走り、会津の蘆名氏のもとに落ちていきました。

塩松しおのまつ領の伊達領国化が確定し、政宗は小浜に入城。小手森城は石川弾正に与えられるも、同十六年(1588)弾正は政宗にそむき挙兵、小手森城は政宗により再び落城となりました。また、菊池氏の菩提寺最勝寺にはコウヤマキの巨木があり、討ち死にした当時の城主菊池顕綱きくちあきつならが葬られているとの伝承が残ります。

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小手森城跡へのアクセス

  • 〒964-0202 福島県二本松市針道愛宕森
  • 東北本線「安達駅」から車で20分
  • 東北自動車道「二本松IC」から車で24分
  • 国道349号線沿いに城址への案内板あり

新城館跡へのアクセス

  • 〒964-0111 福島県二本松市太田堂平

樵館跡へのアクセス

  • 〒964-0203 福島県二本松市木幡上貝屋

鍛冶内館跡へのアクセス

  • 〒964-0111 福島県二本松市太田祢祗跡

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  • 〒964-0111 福島県二本松市太田本城山

鍛冶山館跡(築館・月館)へのアクセス

  • 〒964-0203 福島県二本松市木幡舘

最勝寺へのアクセス

  • 〒964-0201 福島県二本松市戸沢月夜畑90
  • 東北本線「安達駅」から車で20分
  • 東北自動車道「二本松IC」から車で24分

Reference Materials

  • 角川日本地名大辞典編纂委員会 編(1981)『角川日本地名大辞典7 福島県』角川書店.
  • 庄司吉之助・小林清治・誉田宏 編(1993)『日本歴史地名体系7 福島県の地名』平凡社.
  • 米沢市史編さん委員会 編(1997)『米沢市史 第一巻 原始・古代・中世編』米沢市.
  • 岩代町史編纂委員会 編(1995)『岩代町史 第1巻 通史編』岩代町.
  • 東和町史編纂委員会 編(1983)『東和町史 第1巻 通史・旧村沿革』東和町.
  • 本宮町史編纂委員会 編(2002)『本宮町史 第1巻 通史編1 原始・古代・中世』本宮町.
  • 二本松歴史研究会 編(1993)『あだち浪漫街道』安達地方広域行政組合.
  • 福島県教育委員会 編(1988)『福島県の中世城館跡』福島県教育委員会.
  • 福島民報社 編(2007)『武者たちの舞台 – ふくしま紀行 城と館 上巻』福島民報社.

龍の右目 伊達成実伝

吉川永青 著

kenc0224

南奥羽の名所旧跡を悠々閑々と訪ね歩き、物見遊山に日を暮らす掃苔家で巡拝家、偶に登城家なブロガー。掻い撫での道楽なため歴史は苦手。大河は、独眼竜政宗、炎立つ、八重の桜(会津編)、真田丸がお気に入り。雨降りの日は籠居して、家紋の図案を物します。

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