浄光山 伝来寺の来歴
福島県北東部、福島盆地の北部で、阿武隈川の左岸に位置する伊達郡桑折町。町域の南部、西根台地上に旧桑折村(現桑折町本町・北町・和尚堂・仮屋・陣屋ほか)があり、明治十六年に建設された旧伊達郡役所西側の小字「道場前」には、浄光山 伝来寺とその境内地に構えられた城館、伝来寺館があります。
伝来寺は、桑折七騎の一人として知られれる角田左門が、越後国高田の本誓寺の住持に教えを受けた際に武装を捨てて僧となり、釋浄西の法名を授与されて伝来寺と称する草庵を創建したのが始まりだといわれ、慶長五年(1600)の福島合戦では伊達政宗に従って出陣し、主君の危機を救ったと伝えられています。
伝来寺館は伊達氏庶氏の桑折氏の居館で、館の根小屋と見られる伝来寺館、南端に詰めの館である播磨館、その中間に繋ぎの館があり、両館は深い空堀によって分断されていました。戦国期の桑折宗秀以降は播磨守と称したことから播磨館と呼ばれていましたが、奥羽仕置による政宗の国替に伴って廃城となりました。
また、伝来寺の梵鐘は、伊達氏十一代持宗が伊達五山筆頭の東昌寺に奉納し、後に片倉家に授けられて白石城中で使われていたもので、寛文元年(1661)片倉景長が再鋳造しました。明治三年(1870)廃城令により売りに出されていた梵鐘を当時の住職が六〇円で買い取り、伝来寺の梵鐘として今日まで掲げられてきました。
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浄光山 伝来寺へのアクセス
- 〒969-1621 福島県伊達郡桑折町字道場前6
- 東北本線「桑折駅」より徒歩18分
- 東北自動車道「国見IC」より車で9分
伝来寺館跡へのアクセス
- 〒969-1621 福島県伊達郡桑折町字道場前
- 東北本線「桑折駅」より徒歩18分
- 東北自動車道「国見IC」より車で9分
播摩館跡へのアクセス
- 〒969-1618 福島県伊達郡桑折町字庫場
- 東北本線「桑折駅」より徒歩21分
- 東北自動車道「国見IC」より車で8分
参考文献
- 角川日本地名大辞典編纂委員会編(1981)『角川日本地名大辞典7 福島県』角川書店.
- 庄司吉之助・小林清治・誉田宏編(1993)『日本歴史地名体系7 福島県の地名』平凡社.
- 読売新聞東北総局編著(1995)『白石城物語』白石市文化体育振興財団.
- 桑折町史編纂委員会編(2002)『桑折町史 第1巻 通史編Ⅰ 原始・古代・中世・近世(1)』桑折町史出版委員会.
- 桑折町史編纂委員会編(1998)『桑折町史 第4巻 資料編Ⅰ 考古資料・文化史料』桑折町史出版委員会.